すぐにわかる生産管理システム Vol.3

第3回 すぐにわかる生産管理システム


前回は、生産管理システムの要件を2つ整理しました。今回は、3つ目の要件の整理から始めたいと思います。


このコラムは、私自身の勉強としてまとめた内容を再編集したものです。参考文献は以下の本となります。
生産管理システムのご理解にお役立てください。


すぐに役立つ 生産管理基本としくみ

生産管理システム要件の整理3  ?判断基準が重要なのです・・・


前回は、生産管理の統制のなかでも業務資料の作成サポートを要件しましたが、今回は実際の指示が適切なタイミングで行われる
ことが要件となります。それは生産管理システムの中で適正発注・指示機能と呼ばれます。


適正な支持を出すために必要となるのが判断基準になります。
これより生産管理においての判断基準の詳細について説明して行きます。


適正発注・指示機能


1.資材所要量計画MRP(Marerial Requirements Planning) 注1
  ⇒ 計画的な生産を行うために、必要な部品を最適な時期に調達する必要がありそのための生産管理システムとして
    世界でもっとも普及している計算手順がMRPです。
    MRPを用いて部品の所要量を計算する場合、最終製品の基準生産計画(MPS)の情報がベースとなります。
    この情報に、在庫情報と部品構成表情報を反映させて、下位品目の総所要量を計算します。
    その後で総所要量から当該品目の手持在庫と発注残を差し引いた量が正味所要量となります。
    実際の部品発注では、部品ごとに発注ロットが決まっているので、たとえば正味所要量が94個で発注ロットが100の
    場合は、100個の発注がでます。これをロットまとめ(ロットサイジング)と呼びます。発注個数が決まると、部品の発注
    リードタイムを考慮して発注時期を決め、実際の部品発注を行うことになります。


2.独立需要品目
  ⇒ 最終製品や修理用部品などのように、受注や需要予測によって必要量が決まる品目のことです。
    この品目を対象として設定した生産予定が、基準生産計画(MPS)になります。


3.従属需要品目
  ⇒ 必要時期や必要量が独立需要品目または上位品目の需要量から算出できる部品をいいます。
    つまりMRPによって時期と必要量を計算するのは、従属需要品目であるといえます。


4.タイムフェイズ 
  ⇒ 連続した時間をある期間に区切ってその時間単位で生産活動を計画・統制する行為のことです。


5.タイムバケット
  ⇒ タイムフェイズされた期間のことで、この単位で所要量計算を行います。


6.部品表BOM(Bill of Material)
  ⇒ 最終製品に対して各部品を何個使うかを表した部品表を、サマリー型部品表といいます。また、部品間の親子関係や
    使用個数を階層構造ですべて表したものをストラクチャー型部品表といいます。
    MRPの計算では、タイムバケットの終了後に所要量を計算して発注を確定させます。


7.リードタイム 注2
  ⇒ 部品を発注してから納品されるまでの時間は、調達リードタイムといいます。
    リードタイムは通常日数で数えます。そのためカレンダー上の日数なのか実働日なのかの確認が必要となります。
    また素材が準備されて生産に着手してから生産が完了するまでの時間を生産リードタイムといいます。
    調達リードタイムと生産リードタイムを合計して生産リードタイムとする場合があるので、
    相手にどの意味でのリードタイムかを確認する必要があります。
    もうひとつ開発・設計リードタイムというものがある。受注してから開発・設計を行うタイプの企業では、
    このリードタイムが全体のリードタイムの中で占める割合が高いです。


8.コンカレットエンジニアリング
  ⇒ リードタイムを短縮するための手法です。従来は順を追って行っていた業務をオーバーラップさせることによって、
    製品設計と製造・販売などの統合化、同時進行化をおこなう手法です。


9.製番管理方式
  ⇒ 製品に番号(製品番号)を付けて、その製番に部品発注、加工指示、組立指示を関連付けて管理を行う方式です。
   メリット:
     (1)製品在庫をもたなくてよい。
     (2)製品別の原価管理が可能。
   デメリット:
     (1)共通部品の管理が複雑である。
     (2)リードタイム短縮の要望に応えるのが難しい。


10.追番管理方式
  ⇒ すべての部品に累積番号(追番)を付け、生産計画、部品発注、進捗管理、などを追番に基づいて行う管理方式です。
   メリット:
     (1)追番を見るだけで進捗管理ができる。
     (2)計画変更の切替日と時間を追番から性格に特定できる。
   デメリット:
     (1)不良の発生の際の追番訂正処理が複雑である。
     (2)設計変更で親子関係の使用個数が変更になった場合の追番訂正が複雑である。


製品によっては各々異なる判断基準を使用する場合もあります。適切な発注・指示が生産管理システムの命となります。

生産管理システム要件の整理3 補足説明  ?購買管理の5原則・・・


生産管理システムの中で、資材の発注を行う上で切り離せない管理が購買管理です。


ここでは購買管理における在庫と発注についての補足的な説明を行います。


購買管理5原則


1.品質管理 ⇒ 製造する製品にもっとも適した品質のものを購入すること。


2.数量管理 ⇒ 製造する製品の数量に対する適正な数量だけを購入すること。


3.納期管理 ⇒ 不要な在庫を持たないために必要な時期に購入すること。


4.価格管理 ⇒ 安いにこしたことはないが、品質に見合った適正な価格で購入すること。


5.取引先管理 ⇒ 与信管理を行い長期的に安定した取引が可能であるかを選定すること。


以上5つ原則によって製造を行う企業は、高品質低価格の製品を製造することが可能となるわけです。
次は実際に購入する場合の発注方式について説明します。


発注方式


1.定期発注方式 
  ⇒ あらかじめ定めた発注間隔で、発注量を発注ごとに決めて発注する方式。
    ・発注量の決め方=(発注期間+調達期間)の需要の予測値?発注残?手持在庫量+安全在庫量
    ※安全在庫量:需要変動または補充期間の不確実性(不用品の発生や棚卸誤差等)を吸収するために必要な在庫。
     以下の式で表される。
      安全在庫=安全係数×使用量の標準偏差×√調達期間


2.定量発注方式
  ⇒ 発注時期になると、あらかじめ決められた一定量を発注する方式。発注点方式の一種である。


3.発注点方式
  ⇒ 在庫量があらかじめ定められた発注点よりも減少したときに、決められた量だけを発注する方式。
    ・発注点は調達リードタイム中の推定需要量と安全在庫量の和として求められる。


4.常備品管理方式
  ⇒ 材料や部品などを、常に常備品として一定量を在庫として保管しておく方式。
    常備品に対しては、厳密な在庫管理をしない発注方式を採用する。


5.ダブルビン方式
  ⇒ 同じ容量が入った2つの容器(ビン、箱)を用意しておき、片方が空になり他方の在庫を使い始めたときに、
    容器1つ分の容量を発注する方式。ツービン法、複棚法とも呼ばれる。


6.コックシステム
  ⇒ 毎月継続して使用する安価な部品を自社の倉庫に預かり、箱(袋)を開けて使い始めると同時に買い付けを
    したとみなす購買方式。「富山の薬売り」方式の応用である。


7.経済的発注量EOQ(Economic Order Quantity)
  ⇒ 一定期間の在庫関連費用を最小にする1回当たりの発注量。
    経済的発注量=√(2×1期当たりの推定所要量×1回の発注費用/1個1期当たりの保管費用


以上さまざまな発注方式を説明しましたが、すべてはなるべく在庫を少なくするようにするためのものなのです。
適正在庫を守ることが、経費削減につながります。

生産管理システム要件の整理4  ?必要な業務資料を簡単に・・・


4つ目の要件は、生産管理システムを運用する上で必要となる画面問合せ機能です。
各種情報確認がリアルタイムに画面で行えることが挙げられます。


画面問合せ機能


画面問合せ機能によって、様々な側面からの進捗状況を把握することが可能になります。
作業のおくれや材料過不足が無いかなどの確認をすることで最適な製造統制を行うことができるのです。


今回の3回目では、システム要件を2つ整理しました。
次回はいよいよ最終回となります。残り2つの要件の整理を行います。