ITエグゼクティブ・フォーラム IT JAPAN 2013 Vol.18

サイバーエージェント 代表取締役社長 藤田 晋氏


基調講演でタイトルは「新サービスを生み出す仕掛けと、サービスを伸ばす取り組み」です。


史上最年少社長として東証に上場し話題となった藤田社長は、今回のIT Japan2013の講師のなかでも
普通に名前を知っている数少ないかたです。
藤田社長は、この講演で同社で実際に行っているさまざまな手法を本当に惜しげもなく
紹介してくれたのでした。
これらの仕掛けや取り組みが私にとって何かのヒントになったことは確かなことだと思います。


先ずは、「新規事業をやらなければならない訳」を話してくれたのです。
サイバーエージェントという会社は、2000年の売上が4億5千万円から始まり
大型の買収をやらずに基本的に、新事業によって売上を伸ばしてきた会社であることを説明してくれました。


最初は、バナー広告で上場した(これは大手の広告代理店が面倒なので手を出さなかった領域だ。)
しかし、この事業は今はすでにないのだと言います。
決して本意ではなかったのだが、本業をころころと変えて売上を伸ばしてきたのだと言っています。


そのため、常に新規事業をやらないと危険であるとの危機感をもっていたとのことでした。

新規事業をやるためにどのようにしてアイデアを集めているのか?


それでは、新規事業をやるためにどのようにしてアイデアを集めているのか?
新規事業を形にしてゆくために、同社独自の社内制度を構築したのだそうです。


半年に一回事業プランコンテストをやることにしたそうです。
それは、社員にアイデア出しから詰めきりまでを任せるというものでありました。


しかし、最初のうちは全然もりあがらず応募数もすくなかったと言います。
これを解消する為に、応募しないと損だという風潮を社内につくったそうです。
賞金を100万円とし、立ち上げた新事業の重要なポストを与えるなどという
事を繰り返した結果、一回で800以上の応募が来るようになったそうです。


しかし、そのほとんどにろくなものがないと藤田社長をこぼしていましたが、
それでもその中には2?30程、目の付け所が良いものがあるとのことです。


そして、その後はモックプランコンテストという、試作品を作っての募集をしていて
社内だけでなく、社外の人間(学生やエンジニア)からも応募ができる制度として
進化したのだそうです。


そして同社では、合宿を行う効果を重要と考えていて、
近場(横浜とか熱海)で一泊して環境を変えるのだそうだ。
この近場であるということと一泊(限られた時間)というのがミソであると言っていました。
そのことが、結果をださなければならないというプレシャーになるとのことです。

「詰め切りセンター試験」、「あした会議」とは


その一つが「詰め切りセンター試験」だそうで、
社員がチームとなって、いくつもの選択肢の中からセンター試験形式に解答するように
絞り込みを行い、いくつかの項目で加点配分をきめて、各チームにその成績を
競わせ、その結果を張り出すそうである。


もう一つが「あした会議」である。
これは年1回開催で、参加者は役員や事業責任者の
役員8人がチームを編成して、新規事業のアイデアや大きな人事について
明日につながることをトーナメント形式で競う会議だという。
ここでは、役員も含めてアイデアを出して行かなくてはならないそうで、
役員であっても容赦なくプレッシャーにさらせれるそうです。
また結果もSNSに投稿される(オープンである)というプレッシャーも大きいと言ってました。

「K点チェック」、「信号制度」、「ダカイゼン会議」とは


そして、新規事業やアイデアを実施する際の判定制度として
「K点チェック」、「信号制度」、「ダカイゼン会議」があります。


K点チェックとは新規事業が一定のクオリティに到達しているかを確認する制度です。
これは、審査員のすべてのOKがでなければリリースが行われないという機能を果たしています。


信号制度とは、リリース後の改善状態のチェックを見える化したもので
「赤」からはじまり(まだまだ)「黄」では(もう一息)「青」でOKとなります。
また最近では、その上にはブロンズ、シルバー、ゴールドの評価基準を追加したそうです。


ダカイゼン会議とは、
ネットサービスでは必ず改善をだして行かなくてはならないということで、
どこかの時点で必ず伸び悩む時期がくるそうです。
その打開策がでるまで伸び悩みから出ることができないとのことで、
そのため運営するスマホサービスを飛躍的に伸ばす「打開案」もしくは、細かな「改善案」
について詰め切る会議だそうです。また打開と改善のための各々専用会議室を設けているそうで
それは、「打開の間」、「改善の間」と呼ばれているとのことです。


皆で一生懸命ダカイゼンして、共同体として改善の数と質を競わせている。
そして成績は棒グラフを取り入れ見える化を行ていて、
社長室に張り出されお客様が目にするのだそうです。
このように強いプレッシャーを与えているが、楽しげにして誤魔化していると藤田社長は語った。

「CA8」とは


次に紹介するのが「CA8」です。
これは2007年から始まった人事制度で2年毎に1?3人の取締役を入れ換える制度だそうです。
同社は若い会社であるため取締役の年齢も若く、そのため下の人間が取締役になることができないという
固定観念を無くし希望を与えるための施策だったそうです。
これを行うことで会社にとって思わぬ副産物であったのは、役員が一所懸命働くようになったことだそうです。
役員たちは「では誰が降格するんだ」となった時に、他の役員より良い成績を上げなければならないと考えるよういなり
結果的に競わせることになったのだそうです。


また、若手社員の抜擢も行っているとのことで、場合によっては入社1年目から
子会社の社長にすることもあるということです。
これは、新らしい事業を行うにあたり過去の経験が邪魔になると判断がされた場合等
行われる人事だそうです。

最も重要なルール「CAJJプログラム」とは


そして藤田社長は、もっとも重要なルールが撤退ルールであると語っていました。
これは日本のサッカーリーグと同じようリーグ性を導入した「CAJJプログラム」
と呼ばれる制度だそうです。


・J5からスタート
・粗利が500万をこえたらJ4
・粗利が1500万を超えて黒字化J3
・四半期営業利益5000万達成でJ2
・営業利益1億達成でJ1となる。


逆に2四半期連続での減収や、リリースから1年半で黒字化が
できないと、降格したり統廃合したりとルール化した撤退が決まっています。
このため、感情的な要素や無駄に迷うに必要がなくなったと言っていました。

同社の今後の方針について


最後に藤田社長は同社の今後の方針について語っています。


現在は、思い切ったスマホ化を展開中とのことでガラ携については
もう見ないと言い切っていました。


まず、スマホブラウザプラットホーム戦略として
スマートフォン版「Ameba」のSNS化を行い、内製コミュニティとゲームを大量投入しているそうです。


また、相性の良いメディア媒体があると言っていたのが印象的で
新聞と書籍の相性の良さを語り
スマホとTVCMとの相性が非常に良いのだとも言っていました。
これらを使って大規模プロモーションを実施しているということです。


そしてダカイゼン会議を行い打開と改善を行ってゆくのです。


「周りの空気を読まずに制度にのっとりがんがんやれば良くなって行く。」と締めました。


流石に儲かっている企業なのでしょう。お金のかけ方が一般の企業では考えられないような
ものにかけられている印象です。そして若手の抜擢…スゴイですね。
優秀な人材も集まっているのでしょうが驚きです。
社内の中で競わせて役員も巻き込んで、みんなで頑張るという社風は本当に素晴らしいものなのではないのでしょうか。