ITエグゼクティブ・フォーラム IT JAPAN 2013 Vol.4

経営戦略としてのダイバーシティ&インクルージョン by 内永ゆか子氏


NPO法人ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク(J-Win) 理事長 内永ゆか子氏による講演です。


まず始めにダイバーシティとインクルージョンという意味をおさらいしてみましょう。
ダイバーシティとは「多様性」という意味です。直訳すると「幅広く性質の異なるものが存在する」ということです。
そしてインクルージョンとは「包括」、「一体化」しているという意味です。
タイトルにあるダイバーシティ&インクルージョンとは
多様な人々が対等に関わりながら一体化している状態を示しているものだということです。


内永氏は変化に対応する力として、また多様性を取り入れるための手段として女性活用について
力をいれて訴えていたように思いました。
確かに現状の日本では、欧米に比べると女性の力を本当に活用しているとは到底思えない状況です。
日本で女性の総理大臣が出てくるのはあと何年先の話になるのでしょうか。


それでは講演内容についてまとめます。


世界は急速にフラット化していて、ITとネットワーキングの発達、経済のグローバル化によって論理的な距離が近くなり
時間、距離、国境、人脈、階層、組織、会社の壁が低くなっています。
このため世界で起きた出来事が自分や自社に影響を及ぼすまでのスピードが速くなっているのです。


激しいビジネスの変化が起きていて、変化に対応する力が今のビジネスに必要であり、
ダーウィンの進化論でも強いからではなく、「変化に対応できたものが生き残っていく」と言われました。
ビジネスにおけるイノベーションの影響に対する対応が早くなっているのだと。


現状ビジネスの業界でNo.2の会社がNo.1になるのは難しいそうです。
そしてNo.1と同じやり方をしていてはNo.2がNo.1になることはできません。
それをやるためには、どうやってブラッシュアップするかではなく、まったく違うビジネスモデルを作る必要があるとのことです。
その為、まったく別のアプローチを考えられる人材が求められています。
それは、同じ価値観をもった人たちより違う価値観を持った人々の集まりの方が良い結果が導き出せるからだそうです。


ここまでが前置きのようでした。


そしてその第一歩としてビジネスに対する女性活用の重要性を示唆していました。
株主資本利益率と株主利益からみると、女性の上級エグゼクティブ数平均が米国上位4分の1の会社は
下位4分の1の会社より財務的に効率がよくなっているということです。


また多様なメンバー構成におけるリスクとチャンスについてこう話してしました。
モノカルチャー(日本のような企業)では平均的なパフォーマンスでほっておくと低いパフォーマンスレベルになってしまう。
マルチカルチャーの場合は、パフォーマンスの低下リスクも上がってしまうがチャンスも増えることになるという統計が出ているということでした。


内永氏がいた日本IBMのダイバーシティへの取り組みを語っています。
・トップから戦略の一つとしてのダイバーシティ
・各国共通の「女性」が第1プライオリティー
・進捗状況を測る指標の設定と評価を行う管理システムを確立し、実行する。


内永氏が当時の日本IBMの状況を話してくださいました。
女性の活用についてIBMトップから話があり日本IBMのトップがその状況を聞かれたとき、
取締役が1人おり日本ではトップレベルの女性活用が行われていると説明したのだが、
IBMの中では日本IBMが最下位であり、何とかするようにとIBMトップからの指令がくだったのだと。


IBMトップは3か月に1度それぞれの地域のトップとレビューを行い、進捗管理をし確実に実行するかを促したそうです。
トップの意志決定を自身が進捗管理することで着実に実行していったIBMトップのやり方は
トップダウンの遂行として極めて正しいやり方なのだとも言っていました。


そして、内永氏は女性のキャリア・アップ阻害要因を調査しその対策を行っていきました。


女性が入社5年以内でやめる割合は男性の倍であり、管理職比率8倍であるそうです。
基本的には男女同じ仕組みのビジネス環境であるはずなのですが。。。


女性のビジネス環境には潜在的に3つの問題点があったそうです。
これらの問題解決のために女性退職者の退職理由調査を行い、真の退職理由の明確化したとのことでした。


・将来像が見えない
キャリアパスがはっきりとしていなかったため。
女性ネットワーク(ウィメンズ・カンファレンス)の構築
女性管理職の登用
メンタリング/シャドウプログラムで対応


・仕事と家事/育児とのバランス
柔軟な就業環境の整備
ワークライフ・マネジメント⇒時間で縛るのではなくアウトプットで評価する仕組み作りが必要
そのためにはホワイトカラーのワークプロセスが明確化していないとだめである。
業務の効率化と生産性向上、業務プロセスの簡素化と見える化


・オールド・ボーイズ・ネットワーク
カルチャーの違いの理解と企業風土の改革が必要。
企業には明文化されていないカルチャーやルールがあり、女性であるだけでコミュニティから除外される風潮があった。
これについても女性ネットワークを構築やメンタリング/シャドウプログラムが有効な手段となる。


またこれらを進めるためには、トップエグゼクティブのコミットメントとリーダーシップが必要なのである。


ダイバーシティ&インクルージョンは
イノベーションの原動力
グローバル時代の「経営戦略」 そのものです。


ということで内永氏の圧倒的なパワーが伝わる講演でした。
日本IBMの取り組みの本気度合と女性パワー活用を見せつけたといっても良いでしょう。
これからの日本企業も多様性に対応可能な企業風土をうまく作って行きたいものです。