ITエグゼクティブ・フォーラム IT JAPAN 2013 Vol.8

顧客から個客へ?ITは、その流れをどう支えるか by 鴨井 達哉氏


日本IBM 常務執行役員 グローバル・ビジネスサービス事業 インダストリアル・サービス事業担当 鴨井 達哉氏による講演です。


以前から感じていたことですが。日本IBM社はこのIT Japanのエグゼクティブメンバーの多くを輩出している企業であります。
それは日本IBM社がまさにITの先駆者であることを物語っているのだと。。。
そして日本IBMの動向はこれからも、この業界のトレンドを引っ張っていくのでしょうか。


そしてこのタイトルです。「顧客から個客へ-ITは、その流れをどう支えるか」


先ずは、ビッグデータ時代はまだ始まったばかりだということで、2015年までには、現在の3倍以上のデータ蓄積されるという
表の紹介から講演が始まりました。


「学習するシステムが登場し、ビッグデータから予測・発見が可能に」と述べ、新しいユーザがテクノロジーを活用して行くと、
そしてCognitive(知覚、認識)する、一つのモデルができつつあると鴨井氏は言っています。


「Watson」というアプリケーションは、人間とクイズの応答ができ、推論が可能なのだといいます。
ちなみに2011年2月クイズ番組 "Jeopardy" で Ken Jennings さんと Brad Rutter さんに、このWatsonは勝ったということです。
人口知能がクイズ番組で勝つと言うことは、チェスや将棋とは異なり自然言語で問われた質問を理解し、かつ文脈を含めての
質問の趣旨までも理解し、大量の情報の中から適切な答えを選択し回答するという途方もないことなのです。
また、医療データをインプットすることで総合診療のような分野でも活用が可能となって行くそうです。


ビッグデータの特性は4つのVで表されると言っています。


 ・Volume(大容量)
 ・Velocity(発生する速度)
 ・Variety(様々な形式)
 ・Veracity(正確性)


そして、これらの特性を正しく扱うことが必要になるのだと。


ビッグデータ活用における最大の投資分野は、顧客理解つまり顧客に関する洞察である、
と世界や日本のCEOも考えているとのことです。
マーケティング担当者が真剣にこのテクノロジーの活用を考えているそうで、CMOの関心も高まり実際にフロントオフィスへの投資も高くなっていると感じているとのことでした。


これからはセグメンテーション化して顧客を知ること。
そしてマルチチャネルを使って顧客と融合すること。
クラスタリングで動向に対しての情報収集することなどがあげられるとしていました。


そして鴨井氏は、これまでのマーケティングに求められてきた役割だけでは顧客の要求であるコールセンターと店舗の一貫性がなかったことについて以下のように言及していました。


まず、これまでマーケティングに求められてきた3つの役割として以下のものを挙げました。


・顧客を知る。
・何をどうやって市場に出すのかを決める。
・ブランド・プロミスを守る。


そしてこれからのマーケティングに求められる3つの要件が以下のものであると。


・個のレベルで顧客を理解する。
・すべての接点で個客に応じた体験を一貫性を保持して提供する。
・企業文化とブランドを真に一致させる。


そして今後のマーケティング例としてカーディラーの事例をビデオで説明しました。


そこでは、カスタマージャーニーマップと称した流れの説明を行いました。
先ず顧客はWeb上で情報収集から始めるところからスタートします。
そのWeb上での問合せはチャットを使って行こなわれるのです。


その後、顧客はオフィスの近くにあるショールームで車を見るのですが
そのショウルームはバーチャルショウルームになっていて、事前の問合せ情報が連携されているのです。
ヨーロッパのオフィス街でショールームは非常に狭い空間であるため
このようなバーチャルショールームが有効な手段となるということだそうです。


ここでさらなる顧客の要求を引き出すこと(車のタイプや色等)で
週末にカーディラーでの試乗へ誘導することが可能となるといいます。
ここではすでに今まで収集した家族情報などもそろっていて
家族での1日試乗や試乗ルートを提案するなどを行うことができるというのです。
顧客にその満足をSNS等で情報発信してもらえる期待もあがることになるというものです。


このように顧客体験をオンラインとオフラインを融合した一貫性のあるものとして提供することを示したのでした。


このほかに既にビッグデータを活用している企業3社の事例を紹介しました。


 ・米、百貨店Macy's店舗とWebを融合しなおかつ地域によって商品に特色を出した。
  それは店舗とECサイトの区別をなくし、在庫や顧客情報を一元化させ顧客ニーズの取りこぼしをなくしてきたのです。
 ・米、旅行代理店Expedia旅行の申込み、Webの導線分析。
  従来の予約フォームはクレジットカード情報や個人情報の入力方法が分かりづらく、ホテルや航空券の予約が成立する直前で
  多くの顧客を逃してしまっていました。
  そこで顧客体験分析を行い、入力を失敗しやすい項目を特定、改善し、売り上げアップを実現したとのことです。
 ・オランダ、銀行SNS Bank ジャーニーマップを融合している。
  SNSのWebサイトにおける消費者の閲覧履歴を組み合わせ、リアルタイムに消費者のニーズを見極め適切なバナーを表示した
  とのことです。


最後に鴨井氏は、ビッグデータを扱う注意点として、
現状では、まだデータを拾い上げるエキスパートがあまりいないので、タスクチームを小さく作って大きな絵を描き、しっかりとロード
マップを作って進めて行くべきであると結びました。


ビッグデータの扱いはこれから様々な場所で登場してゆく中で
有用なデータを見極めるための力量をどうやって育てて行くかが課題になって行くのだと感じました。